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パワハラ解決の二つの視点

 モラル・ハラスメントの原因がひとつしかなければ、私たちの苦労はこれほど大きくならなくてもすむ。原因がひとつだけなら、対策もまたひとつですむからである。だが、これまで行われたさまざまな研究を見れば、原因はひとつではなく、二つの重大な要素が絡んでいることがわかる。その二つとは、個人の性格や過去の体験の影響など「心理的な要素」、そして職場の管理方式など、「システムに関係する要素」である。したがって、モラル・ハラスメントが起こった時に、被害者や加害者の性格的な問題だけに焦点をしぼって議論を進めてはいけない。(中略)この問題は「システム」と「個人」の二つの要素が合わさったものとして考えていかなければならないのである。P248「第4部 システムと個人――モラル・ハラスメントの二大要素」)
 
「システム」と「個人」は別個の要素としても考える必要がある。いや、確かに、モラル・ハラスメントが「変質的なシステム」の土壌のうえに成り立っていることはまちがいない。しかし、「システム」を考えることが「個人」を考えることの妨げにはならない。「システム」と「個人」を同一視してはならないのである。たとえば、いくら企業が社員をチェスの駒のように扱おうとしても、人間は駒になりきれるものではない。受けた教育や生まれ育った社会的背景、そして過去の個人的な体験などが合わさって、「生身の人間」のままでいるのだ。もしそうなら、それぞれの人の体験や物の考え方によって、モラル・ハラスメントというのは、その持つ意味がちがってくる。その人がどんな過去を持ち、どんな家族を持っているのか、どんな交友関係があり、社会や会社とどう関わっているか、はてはどんな経済体制のもとに暮らしているか、そういったことによって、たとえ同じ状況であっても、それをモラル・ハラスメントと言うかどうかは変わってくるのである。P249「第4部システムと個人――モラル・ハラスメントの二大要素」)
 
 職場におけるパワハラ問題は、個人の心理的要素と管理などの職場のシステム(個人から見れば環境)が絡み合って発生する。そのため、パワハラを個人だけの責任に帰着することはできない。また同時に、職場のシステムにだけに、問題を帰着させてはならない。
 そのため、この引用文では、両方の視点からこの問題を捉えることが重要だとしている。どちらかに偏るのではなく、複合したものとしてとらえるのである。
 私も、この引用文に準じて、職場のパワハラ問題を考えたいと思う。両者をそれぞれに考え、さらに複合させて、これからも考えていきたいと思う。
 

at 13:21, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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