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被害の実相タ祐崟の破壊

 モラル・ハラスメントを受けると、被害者は慢性的な抑うつ状態に陥り、自分を傷つけたその出来事のことばかり、考えることがある。まるでもうその出来事に完全に支配されてしまったかのように、起こったことを繰り返し思い出し、「ああすればよかった」、「こうすればよかった」と思い悩むのだ。そうなると、目の前の人生を楽しむとか、これからの人生を計画するなどということは考えられない。まるで時が止まってしまったかのように、過去から一歩も抜けだせなくなるのだ。時には、この状態が一生続くこともある。モラル・ハラスメントが「精神的な殺人」であるというのは、まさにこのことである。P236「第10章 モラル・ハラスメントに特有の症状」「精神的に破壊される」)
 
 モラル・ハラスメントが続くようだと、被害者はかなりひどいうつ状態に陥ることになる。すなわち憂うつで悲しい気分になり、自分がなんの価値もない、社会に適合できない人間だと思えてくる。また、まわりで起こったことはすべて自分がいけないせいだと思い、何をする気もしなくなる。そうして、それまでは興味のあったことにさえ、関心を失ってしまうのだ。
(中略)
 それはともかく、モラル・ハラスメントの結果、これほどの割合で被害者がうつ状態に陥ってしまうというのは、決して軽視することができない。というのも、さきほども言ったように、この状態になると、被害者が自殺する可能性が高まるからである。P213「第8章一般的に見られる症状」「迎うつ状態」)
 
 モラル・ハラスメントの過程が進むと、被害者の身体にはかなり高い確率で心身症の症状が表れる。というのも、攻撃を受けても、心のほうはまだ何が起こったか理解できず、真実を見るのを拒否しているのに、身体のほうはすでにその攻撃に反応しているためである(それが頭痛や下痢など、身体の不調となって表れる)。ついでに言っておくと、こういった身体の反応は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)として、モラル・ハラスメントを受けたずっと後になって表れることもある。P215「第8章一般的に見られる症状」「心身症」)
 
モラル・ハラスメントを受けると、性格が用心ぶかくなる。その傾向がさらに強まれば、妄想症的な傾向が表れることもある。
さて、精神医学的に言うと、正常に警戒心が強いといった状態から妄想症に移行するのは、それほど珍しいことではない。その境界は曖昧で、専門家も時には判断に迷うくらいである。P237〜238「第10章 モラル・ハラスメントに特有の症状」「妄想症的な傾向が表れる」)
 
 マギの症状を見ると、これは明らかに幻聴や妄想をともなう精神障害、すなわち慢性幻覚精神病と呼ばれる本物の精神病である。だが、それは職場の状況とは関係がなかったのか? いや、もちろん関係があっただろう。幻聴が起こったのも、職場で近くの席にいる人々が部長のスパイだという妄想を抱いたのも、職場の雰囲気が影響していることはまちがいない。マギにとって、職場は安心していることのできない危険な場所だったのである。確かに、この部長にどこまで悪意があったかはわからない。また、マギのほうもその悪意を誇張して感じている。だが、マギが不安になる状況は、確実に存在したのだ。P242「第10章 モラル・ハラスメントに特有の症状」「一時的に精神病の様態を示す」)
 
 被害者はパワハラ行為を受けると考え込んでしまう。その考えは冷静な思考ではなく、強迫観念に近いものだ。自問自答し、考えずにはいられなくなってしまうのである。そして、時にはうつ病になったり、心身症になったり、さらには本物の精神病になってしまう。用心深く、警戒心に満ちた性格に変質し、最終的には精神病になってしまうこともある。ここでは、人間性が破壊されているのである。
精神疾患は、資質などの個人的理由によると考えられている。それも一面の真理であるが、パワハラ被害を受けたという職場の関係性によって至ることがあるということが、この引用文に示されている。退職する場合に、うつ病やその他の精神疾患を理由にする人は多いが、その中の少なくない人がパワハラ行為の被害者であると考えられる。
 

at 11:21, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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