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パワハラの実相そ乎朕翰

  集団というのは、一体感が強ければ強いほど、全体のやり方に従わないと居心地が悪くなるものである。みんなと一緒でなければ、仲間はずれにされる。あるいは、モラル・ハラスメントを受ける。そう思うと、つい恐怖にとらわれて、ほかの人と同じように考えてしまう――というよりは、ほかの人はこう考えているだろう、というその考えに合わせて考えてしまう。その結果、アリストテレスが言うように、『どんな馬鹿げた意見であっても、もしそれが一般に広く認められているとわかったら、人は簡単に受けいれてしまう』(『二コマコス倫理学』より)、そういった状態ができあがってしまうのである。
 これをまた別の角度から見ると、「集団というものは、ひとりのリーダーを前に立てて、あとの人々はちょうど羊の群れのように、そのリーダーのすることに無批判に従う側面がある」、ということでもある。ショーペンハウアーが言うように、『全員に共通する意見というのは、よく調べてみると、二人か三人の意見であることが多い』のだ。このような形で、盲目的に誰かの言うことを従ってし
まう傾向は、上層部から中間管理職、ひらの社員にいたるまで、企業組織のあらゆるレベルで見ることができる。いや、企業の経営者も、羊の群れの一員になるという誘惑から逃れられない――その結果、経営に対する判断を自ら下さないで、専門家やコンサルタントの意見にそのまま従ってしまうということが起り得るのである。(P377〜378「第12章モラル・ハラスメントに関わる人々」「モラル・ハラスメントをする集団に従ってしまう人々」)

 ここで言う「変質の伝達者」とは、いくらおかしなものであっても、上層部の意志をそのまま実行に移そうとして、人を傷つけてしまう人々のことである。たとえば、会社のある部署が上層部から実現困難な目標を与えられた時、その部署の人々は、その目標を達成するために、自分たちのなかで成績の悪い人たちを排除することがあり得る。命令を実行するためであれば、同僚を傷つけることなどなんとも思わなくなってしまうのだ。
 もしそうなら、ある社員を辞めさせようと思った場合も、会社の上層部はその社員が会社にとって望ましくない存在だということを同僚の社員たちに知らせてやればよい。そうすると、同僚の社員たちは、権威に対する恐怖や服従の心理から、その社員を仲間はずれにして、孤立させる――すなわち、これまでさんざん述べてきたやり方で、モラル・ハラスメントを行う。その結果、その社員はいわば同僚たちから追いだされる形で、会社を辞めていくことになるのである。
 ある組織のなかで、自分が信頼を置いている「権威」から命令を受けた時、人はその命令を実行することに関しては責任を感じて、自ら進んでその行為をなしとげる。だが、その行為を行うこと、あるいは、その行為の結果については、まったく責任を感じない。自分はただ、「命令されたからや
った」と考えるのである。(P378〜379「第12章モラル・ハラスメントに関わる人々」「変質の伝達者」)

   職場においては誰もがパワハラの被害者になる可能性がある。その一方で、パワハラの加害者になる可能性も誰もが持っている。そうした可能性を肯定しなければ、パワハラを理解することも、パワハラを回避することもできないだろう。
その要因の一つが、職場という、組織、集団の中でパワハラ行為がなされるというところにある。この場合、上司一人のパワハラ行為であっても、組織、集団の中でその行為が加速されることがある。この場合のパワハラ行為とは、組織、集団によるいじめとしてとらえる必要があるかもしれない。発端は上司一人の行為であっても、それが組織、集団の中で悪い意味で伝播してしまうのである。パワハラ行為について考える場合、そういう組織心理、集団心理を無視することはできない。





 



 

at 10:25, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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