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★パワハラ行為の実相加害者の悪意

   いっぽう、これまで数多くのモラル・ハラスメントの例を見た経験から言うと、モラル・ハラスメントの加害者は、個人的なレベルでは自分の行為や誤解や行きちがい、あるいは状況のせいにして、悪意を否認しようとする。
「そんなことを気にしていたなんて、知らなかったんだ」
「私は命令に従っただけだ」
「たいしたことはしていない。傷つくほうが神経過敏なんだ」
 このように、悪意の否認には巧妙な言いわけが用いられる。あるいは悪意そのものを意識してい
ない場合もある。人は誰かを傷つけたことは認めても、自分の悪意を認めることは難しいからだ(な
ぜかと言うと、それは自己イメージが悪くなるという形で自分にはねかえってくるからである)。したがって、悪意の存在は、たとえば加害者が気づいたとしても、曖昧にされてしまう。「ほんの冗談
だよ。気にするほうがおかしいんだ」
 いっぽう被害者のほうからすると、同じひどいことをされたのなら、加害者に悪意の存在を認めてほしいと思うのが普通である。悪意がはっきりしているなら、それに対して抗議をすることがで
きるからだ。また、自分では暴力をふるわれていると思っているのに、「暴力をふるったつもりはない」と言われると、自分の感覚が信じられなくなるということもある。正常な感覚を取り戻すためには、悪意を認めてもらうしかないのである。(P87〜88「第2章モラル・ハラスメントであるもの」「悪意の否認」)

   ところで、モラル・ハラスメントとの関係で、この「自己愛的な変質者」の行為を考えると、この人々は自分のしたことを悪いと思っているのだろうか? さまざまな機会に本人たちに訊いてみると、本人たちは一様に否定する。彼らは絶対に自分たちの過ちを認めない。したがって、謝罪もしない。彼らが後悔するとしたら、「やり方がまずかった」と思った時だけである。実際、モラル・ハラスメントだとはっきりわかってしまったとしたら、それは巧みに隠しきれなかったからだ。すなわち、自分たちのやり方には、まだ改良の余地があるということである。(中略)
 いや、この人たち――「自己愛的な変質者」たちには、良心とかそういったものはない。ただ、「これ以上のことをすると、警察に捕まって、自分が不愉快な目にあう」という認識があるだけだ。もしそうなら、自分が悪いことをしたとは思うはずがない。しかし、それでも、この人々の心のなかには、心の深いところにひそんだ「根深い悪意」といったものがあるように思われる。といっても、もちろんこの人々が自分のなかのその悪意の存在に悩んで、精神科医の診療所を訪れるわけではない。この人たちは、自分たちの行動がまったく正常なものだと思っているからだ。だから、治療を受けにくるなんて、とんでもない。もし、この人たちが診察室にやってくるとしたら、それはどうやったら、もっと巧みに「変質性」を隠すことができるか、それを訊きにくるのである。(P392〜393「第12章モラル・ハラスメントに関わる人々」「純然たるモラル・ハラスメント」)

 パワハラの実相とは、加害者が悪意をもって精神的暴力をふるい、被害者を傷つけることにある。ところが、その悪意を判定・断定することが難しい、すなわちパワハラを判定・断定することは難しいとのことは、前述したとおりである。その要因の一つが、パワハラの加害者が自分の悪意を否認する、認めようとしないことにあるのだ。多くの場合、加害者は悪意を認めることはない。被害者の受け取り方が間違っている、被害者の認識が間違っているというスタンスを、加害者は取るのである。
 被害者としては、加害者が悪意を認め、謝罪でもすることになれば、パワハラから救済される。ずいぶんと傷ついた精神を救済されるはずである。しかし、加害者は悪意を否認し続けることがほとんどだ。そのことがパワハラの解決を難しくしているのである。

at 16:54, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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