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パワハラの起こりやすい職場

 モラル・ハラスメントはどんな職場でも行われる可能性がある。だが、職場のタイプによって、その起こりやすさにはちがいがある。
 この点では、どの研究も結果が一致していて、それによると、モラル・ハラスメントは、サービス関係や医療関係、教育関係の職場で、特に頻繁に起こりやすい。というのも、こういった職場では、仕事の内容がひとつも決まっておらず、評価の基準も曖昧なので、仕事に関して誰かを非難しようと思ったら、容易に非難することができるからである。
[第7章 職場のタイプとモラル・ハラスメント P162]

 公的機関と私企業では、モラル・ハラスメントの性質もちがってくる。一般に、私企業の場合は、モラル・ハラスメントの続く期間が短い。だが、そのやり方はより直接的で、たいていは被害者が辞めることで終わりになることが多い。これに対して、公的機関の場合は、モラル・ハラスメントの続く期間が長い――数年はおろか、時には十数年にわたって続くこともある。これは、公的機関の場合、よほど重大なミスを犯さないかぎり、解雇されないからである。また、加害者と被害者がともに同じ職場に長くいるということから、嫌がらせはより間接的――換言すれば、より陰湿なものになり、その結果は被害者の健康に計りしれない影響をもたらす(中略)。
 ところで、公的機関というのは、言うまでもなく、公共にサービスを提供する機関である。そういったことからすると、その場所でモラル・ハラスメントが行われているというのは、かなりショッキングなことである。また、そこでモラル・ハラスメントが行われる理由も、「組織としての効率を高めて、激しい競争に勝ち抜く」ためではないということは明らかである。むしろ、「組織の内部で権力争いをする道具」として、モラル・ハラスメントが使われるのである。(中略)
 また仕事の性質もモラル・ハラスメントを行うのに好都合であると言える。というのも、特に官公庁の仕事では、長期的な展望を与えられないまま、大量の書類の処理を命じられることが多い。したがって、職員はひとつひとつの仕事の重要性を理解することが難しい。また、仕事をするのに必要な情報が与えられない場合もある。そこにモラル・ハラスメントの入りこむ余地がある。
                         [官公庁および公企業 P163〜165]

 次は医療機関である。医療機関ではことのほかモラル・ハラスメントが多い。(中略)
 たとえば、イギリス南東部の公立の医療機関で働く一千人の看護婦と看護士に対して行われた調査によると、そのうち三八%がモラル・ハラスメントを受けたことがあり、四二%が「同僚がひどい仕打ちを受けたのを見たことがある」と回答している。また、被害者のうち三分の二がモラル・ハラスメントに抗議したが、その抗議も空しく、モラル・ハラスメントは続いたという。
 いや、確かに医療の現場というのは体力的にも精神的にもきつい職場だろう。だが、患者のほうは、医師にしろ、看護婦にしろ、そのための訓練を受けていると思うからこそ、尊敬も抱き、また安心してその治療に身を任せているのである。その現場でモラル・ハラスメントが行われているというのは悲しいことである。
[医療機関 P183〜184]

教育機関・研究機関・私企業(中小企業、家族経営の企業、大手の量販店、ベンチャー企業)・慈善団体・スポーツの世界・政治の世界

 以上が『モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする』にあるパワハラの起こりやすい職場・職種である。ここからわかるように、どの職場・職種においても、パワハラのないことのほうがまれであることだ。職場というのは、仕事をすることのきつさ、困難さを抱えているとは思う。そのきつさ、困難さがパワハラを生じさせているようにも思う。また、公的機関や医療機関、慈善団体(NPOなど)においてもパワハラが横行していることがわかる。利他性を追求する社会的なこれらの職種において、パワハラはないと考えがちだが、その先入観は誤解なのである。あらゆる職場・職種において、パワハラは生じているのである。それほどにパワハラと職場というのは、本質的に結びついていると考えられる。

at 13:08, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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