軍隊の価値観と犯罪

 沖縄で、米国元海兵隊員による女性強姦・殺害事件が起きた。沖縄では、繰り返される同様の事件に対し、抗議の声がより強くなり、反基地の意識が高まりを見せている。基地がなくならなければ、こうした悲劇が繰り返されるという沖縄の人々の、抗議の気持ちは強いものがある。
 戦後に東京で生まれ、東京で育った私もまた、犯人が元海兵隊員(すなわち元軍人)であることと、その卑劣な犯罪が無関係ではないと考える一人である。犯人が元軍人であることとその犯罪とは大いに関連している、と思うのだ。そのことを改めて考えさせられた事件であった。
 軍隊という組織の価値観は、一般の我々生活者の価値観とは違う。その価値観は、自分が殺害される前に敵を殺害しろ、それが軍人のあるべき姿である、というものである。軍隊ではそうした価値観が徹底的に叩き込まれる。その価値観に基づいて、敵を殺害するための、あらゆる方法の訓練を受ける。殺害方法だけでなく、人間を殺害するときに生じる精神的躊躇をなくすための訓練も、同時に受けるのである。今回の卑劣な犯罪も、軍人としてその訓練を受け、軍隊の価値観に支配された一軍人の犯行であることを忘れてはならない。軍隊の価値観が軍人の卑劣な行為に影響を与え、非人間的な行為の背中を押しているのである。軍隊の価値観そのものが犯罪を生んでいるのではないにしても、異様な犯罪を生む原因になっているのである。
 軍隊では、我々一般の生活者の価値観、すなわち「生きとし生けるものの命を大切に」などという価値観は、ほとんど無力である。軍隊は、一般の生活者とは真逆の、敵とは言え、「人間を殺害しろ」という価値観に支配されている。だからこそ、沖縄の人々が、軍事基地がなくならなくては軍人の卑劣な犯罪はなくならないと感じるのではないだろうか。そのことの正当性が、僕には見て取れるのである。
 

at 07:48, 砂田好正, 戦争と軍隊

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