この章を終わるにあたって

 たとえば、職場でモラル・ハラスメントが行われた時、まわりの人々はどうしてそれを見て見ぬふりをするのか? これは社会的な背景を考えなければ理解できない問題である。そういったことを真剣に分析することもなく、その結果として、ただモラル・ハラスメントの被害者を衰弱させ、精神病に追いやってしまうのであれば、私たちは社会的に重要な問題を棚上げすることになる。P18「はじめに」)
 
 この章は、ここまで職場のパワハラ(モラハラ)をテーマに記述してきた。そしてこの章の多くを良書である『モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする』から引用している。私はある意味で、この本に依存していると言えるかもしれない。
ただ、私はこの章で「良い職場づくり」「パワハラのない職場」「もしパワハラが起きた場合の具体的な回避策」を探求している。そのことが実際性としての、主な目的である。その場合に、この分野での優れた書籍である同書に依存することは、私にとって必然であった。
 この目的は、同書を読んでもらったほうが達成されやすいとさえ思う。同書の一読をお勧めするのもそのためである。また、同書は長編なので、同書の解説書として私のこの章をお読みいただいても結構である。
この項の引用文で指摘されているように、現在において、職場のパワハラ問題は頻繁に起きるという意味でも重大な問題である。パワハラ問題について考えることが、社会的にも大事なことになっている。
「パワハラ」という用語が表面化してそう多くの時間は経過していない。その一方で、パワハラ問題についての発言は増加している。いわば社会問題だと指摘されている。そういうパワハラ問題について、この章での私の記述が一石を投じることになれば幸いである。
 

at 10:33, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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パワハラ解決の二つの視点

 モラル・ハラスメントの原因がひとつしかなければ、私たちの苦労はこれほど大きくならなくてもすむ。原因がひとつだけなら、対策もまたひとつですむからである。だが、これまで行われたさまざまな研究を見れば、原因はひとつではなく、二つの重大な要素が絡んでいることがわかる。その二つとは、個人の性格や過去の体験の影響など「心理的な要素」、そして職場の管理方式など、「システムに関係する要素」である。したがって、モラル・ハラスメントが起こった時に、被害者や加害者の性格的な問題だけに焦点をしぼって議論を進めてはいけない。(中略)この問題は「システム」と「個人」の二つの要素が合わさったものとして考えていかなければならないのである。P248「第4部 システムと個人――モラル・ハラスメントの二大要素」)
 
「システム」と「個人」は別個の要素としても考える必要がある。いや、確かに、モラル・ハラスメントが「変質的なシステム」の土壌のうえに成り立っていることはまちがいない。しかし、「システム」を考えることが「個人」を考えることの妨げにはならない。「システム」と「個人」を同一視してはならないのである。たとえば、いくら企業が社員をチェスの駒のように扱おうとしても、人間は駒になりきれるものではない。受けた教育や生まれ育った社会的背景、そして過去の個人的な体験などが合わさって、「生身の人間」のままでいるのだ。もしそうなら、それぞれの人の体験や物の考え方によって、モラル・ハラスメントというのは、その持つ意味がちがってくる。その人がどんな過去を持ち、どんな家族を持っているのか、どんな交友関係があり、社会や会社とどう関わっているか、はてはどんな経済体制のもとに暮らしているか、そういったことによって、たとえ同じ状況であっても、それをモラル・ハラスメントと言うかどうかは変わってくるのである。P249「第4部システムと個人――モラル・ハラスメントの二大要素」)
 
 職場におけるパワハラ問題は、個人の心理的要素と管理などの職場のシステム(個人から見れば環境)が絡み合って発生する。そのため、パワハラを個人だけの責任に帰着することはできない。また同時に、職場のシステムにだけに、問題を帰着させてはならない。
 そのため、この引用文では、両方の視点からこの問題を捉えることが重要だとしている。どちらかに偏るのではなく、複合したものとしてとらえるのである。
 私も、この引用文に準じて、職場のパワハラ問題を考えたいと思う。両者をそれぞれに考え、さらに複合させて、これからも考えていきたいと思う。
 

at 13:21, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害からの脱出ぜ己否定しない

 ここまでの記述を読めばご理解いただけると思うが、パワハラ被害からの脱出方法として、私には特に強調したいことがある。それは「自己否定しない」「自罰的にならない」「反省したりしない」ということである。パワハラ行為を受け、それをこじらせてしまうのは、こうした「自分が悪いからパワハラを受けるのだ」という一種の自己否定なのである。パワハラ行為を受け続けていると、「悪いのは自分だ」「自分は悪い人間だ」といった自己否定に走りやすいのである。そういう認識は、パワハラ被害からの脱出を難しいものにすると思うのだ。
 もちろん一般的に、自己否定をしたり、反省したりすることが悪いことではない。むしろ、職場以外の社会においては、それは謙虚な姿勢で評価されても良いはずのものだ。また、自分の成長のためには、反省し、ときには自己否定することも必要かもしれない。
 しかし、パワハラ被害から脱出するために限って言えば、こうした心情は排除したほうが良い。それが、この引用文を読んできた私自身の率直な思いなのである。パワハラの被害に合っていると思ったら、「加害者が悪い行為をしている」「加害者が間違っている」「加害者が変質的だ」という「他罰的」な認識を持つべきだ。実際、パワハラ行為はやってはいけないものであり、加害者が悪いはずの行為だ。
そのうえで、専門家などに相談することが必要なのである。そういう心情を持てば、自分を責めることなく、恥じらうことなく、相談するという適切な行為に向かうことができる。自己否定しないこと、それがパワハラ被害から脱出するために有効な認識だと思える。
 
 

at 10:46, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害からの脱出社員間の連携

 モラル・ハラスメントが横暴な上司による職権濫用的なものだったり、また、会社側がコスト・キラーを導入して、過剰人員を整理する過程で起こったものであれば、その場合は、実際的な対処の方法としては、社員たちが結束するしかない。すなわち、経営者や上司の「変質的な」、あるいは「病的な」やり方に対して、団結して戦うしかないのである。しかし、それは逆に言えば、集団で行動して、労働監督局に訴えるなり、労働組合を動かすなりすれば、そういったタイプのモラル・ハラスメントには対抗する道が開けている、ということである。
いっぽう、モラル・ハラスメントの種類がいわゆる「純然たるモラル・ハラスメント」であった場合は、被害者は孤立させられていることが多いので、ほかの社員と連帯して行動を起こすことができない。その結果、モラル・ハラスメントに対する対処の方法も変わってくる。最初に述べたような形で専門家に相談する必要が出てくるのは、この場合である。P397「第5部 モラル・ハラスメントにどう対処すればよいか」)
 
 パワハラの加害者は、被害者が組織の中で孤立していることを利用することが多い。そのため、社員同士が団結して、連携しているとパワハラ行為は起こりづらくなる。また、社員間で団結し、連携することが解決のために有効である。
しかし、こうした団結・連携はそう簡単にできることではない。連携の対象になる社員にとってみれば、自分にパワハラ行為が降りかかる可能性があるからである。また、そもそも、団結・連携が強くないという職場にパワハラが横行しやすいということも関係している。そうした団結・連携が難しいところに、その解決が困難な、一つの原因があると見られる。
 
 

at 13:56, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害からの脱出加害者と離れる

 通常のストレスとちがうのは、モラル・ハラスメントの場合は、無力感や屈辱感、そして「これは正常なことではない」という違和感がつきまとうことである。また、この段階で、モラル・ハラスメントの加害者と接することがなくなれば、症状はまたたくまに改善される(これはめったにないことだが、加害者が謝罪した場合も同様である)。被害者は精神の安定を取り戻し、その後、長期に及ぶ健康の被害も出ない。(P212「第8章 一般的に見られる症状」「ストレスによる機能障害」)

 

 加害者から離れることは、被害からの脱出として有効である。比較的大きな企業の場合、配置転換してもらうように会社に申し出ることが必要だろう。企業としては、その配置転換を認める器量の大きさが必要だというのが、ここで強調したいことである。配置転換ができない小さな組織の場合でも、直接の上司を代えるなど、加害者と被害者との距離を持つようにするのが被害からの脱出として有効である。その場合も、会社は、パワハラということが職場ではあり得るということ、そのことを十分に認識し、回避する方策を採用したいものである。

 

at 13:57, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害からの脱出‖荵絢圓了抉

 これまで述べてきたように、モラル・ハラスメントやそれに似た状況はたくさんあって、なかなか見分けることが難しい。だが、それでも私たちは、そのちがいを見きわめる必要がある。というのも、それがモラル・ハラスメントであるのかないのか、あるいは、どんな種類のモラル・ハラスメントであるのかによって、それに対する方策が変わってくるからである。実際、横暴な上司による「職権濫用的なモラル・ハラスメント」と、「変質的な」やり方で被害者が標的にされる「純然たるモラル・ハラスメント」では、被害者に対する援助の方法がちがってくる。それはまた仲介の方法もちがってくる、ということでもある。

 では、ここで被害者の立場にたって、「私はモラル・ハラスメントを受けている」と思ったら、いったいその時はどうすればよいのだろう? そこで、まず第一に言えることは、モラル・ハラスメントの状況からは、ひとりでは抜け出せない、ということである。したがって、自分が被害を受けていると感じたら、ともかく誰か専門家に相談しなければならない。というのも、もしそういったことをしないのであれば、あとは直接、法に訴えるしか方法がなくなるからである。

 しかし、そうは言っても、どんな専門家に相談するのか、これを決めるのがまた難しい。医師か、弁護士か、労働組合か・・・。その人が受けている被害の状況によって、誰に相談をすればいいのかも、また変わってくるからである。だが、いずれにしろ、その人の状況にふさわしい専門家が見つかれば、その専門家は、話を聞き、一緒に状況を分析し、はたしてそれがモラル・ハラスメントであるのかどうか、またどんな種類のモラル・ハラスメントであるのか、そういった判断を下してくれるだろう。P396〜397「第5部 モラル・ハラスメントにどう対処すればよいか」)

 

 この章の前半にも書いたことだが、パワハラ行為から逃れるためには、第三者としての専門家に相談することが大切である。自分一人で解決することはまずできない、と考えるべきである。では、どのような専門家に相談したらよいのだろうか。それがまた難しいと引用文に書かれている。ただ、自分一人で考え込み、落ち込んでいるだけで解決できるということはあり得ない。だから、勇気を出して、良い相談相手と見られる専門家に相談することが大切である。それが解決の第一歩だと考えるべきである。

 

at 13:14, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害の実相タ祐崟の破壊

 モラル・ハラスメントを受けると、被害者は慢性的な抑うつ状態に陥り、自分を傷つけたその出来事のことばかり、考えることがある。まるでもうその出来事に完全に支配されてしまったかのように、起こったことを繰り返し思い出し、「ああすればよかった」、「こうすればよかった」と思い悩むのだ。そうなると、目の前の人生を楽しむとか、これからの人生を計画するなどということは考えられない。まるで時が止まってしまったかのように、過去から一歩も抜けだせなくなるのだ。時には、この状態が一生続くこともある。モラル・ハラスメントが「精神的な殺人」であるというのは、まさにこのことである。P236「第10章 モラル・ハラスメントに特有の症状」「精神的に破壊される」)
 
 モラル・ハラスメントが続くようだと、被害者はかなりひどいうつ状態に陥ることになる。すなわち憂うつで悲しい気分になり、自分がなんの価値もない、社会に適合できない人間だと思えてくる。また、まわりで起こったことはすべて自分がいけないせいだと思い、何をする気もしなくなる。そうして、それまでは興味のあったことにさえ、関心を失ってしまうのだ。
(中略)
 それはともかく、モラル・ハラスメントの結果、これほどの割合で被害者がうつ状態に陥ってしまうというのは、決して軽視することができない。というのも、さきほども言ったように、この状態になると、被害者が自殺する可能性が高まるからである。P213「第8章一般的に見られる症状」「迎うつ状態」)
 
 モラル・ハラスメントの過程が進むと、被害者の身体にはかなり高い確率で心身症の症状が表れる。というのも、攻撃を受けても、心のほうはまだ何が起こったか理解できず、真実を見るのを拒否しているのに、身体のほうはすでにその攻撃に反応しているためである(それが頭痛や下痢など、身体の不調となって表れる)。ついでに言っておくと、こういった身体の反応は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)として、モラル・ハラスメントを受けたずっと後になって表れることもある。P215「第8章一般的に見られる症状」「心身症」)
 
モラル・ハラスメントを受けると、性格が用心ぶかくなる。その傾向がさらに強まれば、妄想症的な傾向が表れることもある。
さて、精神医学的に言うと、正常に警戒心が強いといった状態から妄想症に移行するのは、それほど珍しいことではない。その境界は曖昧で、専門家も時には判断に迷うくらいである。P237〜238「第10章 モラル・ハラスメントに特有の症状」「妄想症的な傾向が表れる」)
 
 マギの症状を見ると、これは明らかに幻聴や妄想をともなう精神障害、すなわち慢性幻覚精神病と呼ばれる本物の精神病である。だが、それは職場の状況とは関係がなかったのか? いや、もちろん関係があっただろう。幻聴が起こったのも、職場で近くの席にいる人々が部長のスパイだという妄想を抱いたのも、職場の雰囲気が影響していることはまちがいない。マギにとって、職場は安心していることのできない危険な場所だったのである。確かに、この部長にどこまで悪意があったかはわからない。また、マギのほうもその悪意を誇張して感じている。だが、マギが不安になる状況は、確実に存在したのだ。P242「第10章 モラル・ハラスメントに特有の症状」「一時的に精神病の様態を示す」)
 
 被害者はパワハラ行為を受けると考え込んでしまう。その考えは冷静な思考ではなく、強迫観念に近いものだ。自問自答し、考えずにはいられなくなってしまうのである。そして、時にはうつ病になったり、心身症になったり、さらには本物の精神病になってしまう。用心深く、警戒心に満ちた性格に変質し、最終的には精神病になってしまうこともある。ここでは、人間性が破壊されているのである。
精神疾患は、資質などの個人的理由によると考えられている。それも一面の真理であるが、パワハラ被害を受けたという職場の関係性によって至ることがあるということが、この引用文に示されている。退職する場合に、うつ病やその他の精神疾患を理由にする人は多いが、その中の少なくない人がパワハラ行為の被害者であると考えられる。
 

at 11:21, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害の実相ぐ意による傷つき

 被害者が相手の悪意に気づいた時――すなわち、屈辱的なやり方でコミュニケーションを拒否されたり、仕事に関して意地の悪い批判をされたり、態度や言葉で明らかな侮蔑を受けたと感じた時――被害者の苦しみはモラル・ハラスメントの段階に進む。その結果、被害者の精神に与える影響は、ストレスの段階に比べてはるかに大きくなる。被害者はまず、そういった悪意が存在することが信じられない。それから、「こんなふうにひどい扱いを受けるなんて、自分はいったいどんな悪いことをしたのだろう?」と不安にとらわれる。そうして、この状況を変えようと、果てしない努力を重ねるのだ。そこで生じる心の傷はストレスなどとは比べものにならないほど深く、大きい。というのも、それは自尊心や人間としての誇りが傷つけられてできたものだからである。また、上司や同僚、あるいは会社に対して抱いてきた信頼感が突然崩れさったことも、その傷を深く、大きくする一因となっている。この時、被害者が自分の人生のなかで仕事を重要な事柄として考えていればいるほど、その「心の傷」は大きくなる。P30〜31「第1章 モラル・ハラスメントではないもの」「モラル・ハラスメントの段階」)

 

 心理的な攻撃について考える時、「悪意」の問題を切り離して考えるわけにはいかない。というのも、その攻撃に悪意があれば、被害者が受ける心の痛手はいっそう深くなるからである。被害者が傷つくのは、相手の「悪意」に対してなのである。「あの人は私を傷つけようとしている!」そのことに傷つくのだ。P87「第2章モラル・ハラスメントであるもの」「悪意があるということ」)

 

 この引用文で強調されているのは、パワハラを受けた被害者は、当初、その悪意が信じられないということである。そもそも、正直で良識を持った人は、他者に対して悪意を持っているということが信じられない。信じられないのに、一方で悪意を感じるのである。また、そういう悪意を持って対応されることは、自分が悪いのではないか、と考え込んでしまう。そんなことはないのだが、自分が信じられなくなるということのようだ。

 被害者は加害者の悪意に傷つく。「あの人は私を傷つけようとしている!」。その悪意を発する人が信じられずに、その悪意に傷つくのである

at 10:30, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害の実相O辰係斥佞瞭鷭鼎琉嫐

 モラル・ハラスメントに特有の症状は、「正常な感覚が失われる」ということである。それはどうやったら相手を傷つけることができるか、というモラル・ハラスメントの方法と密接に結びついている。
 たとえば、その方法のひとつとして、「表面的な意味のほかに、裏に別の意味がこめられた言葉を使う」というのがあるが、そういったことをされると、私たちはその言葉をどう受け取っていいかわからず、途方に暮れてしまう。また、そんなことが続けば、精神的におかしくなってくる。実際、こういった二重の意味を持つ言葉が使われると、家庭の場合、言われたほうは統合失調症(精神分裂病)に追いこまれる可能性がある。また、職場においては、妄想症的な傾向が表れたり、ひどい場合には精神を破壊されてしまうこともある。いや、そこまでいかなくても、職場で使われている言葉をすなおに受け取ることができなくなれば、働く人間にとっては大問題である。何が本当で何がまちがっているのかわからなくなり、仕事をするうえでも、大切なこととそうでないことの見分けがつかなくなってしまうからだ。また、なんでもない言葉の裏に非難の意味がこめられていると思えば、正面切って言い返すこともできず、自分は本当に駄目な人間なのだ、と疑う気持ちも出てくる――要するに、自分で自分の感覚が信じられなくなってしまうのだ。そうなったら、今度は加害者のほうからすれば、責任をなすりつけるのも、相手を無能呼ばわりするのも簡単である。P233〜234「第10章 モラル・ハラスメントに特有の症状」「自分の感覚が信じられなくなる」)
 
 この引用文を皆さんはどのように読まれるだろうか。職場内おいてのパワハラ行為は集団的ないじめに発展することがあるが、その集団に所属する社員が、往々にして使う方法が、この引用文に書かれている、と私は思う。その方法とは「表面的な意味のほかに、裏に別の意味がこめられた言葉を使う」というものである。もっと具体的に言うと、「四」という数字を多用し、暗にそれに、「し(死)」を意味させ、被害者を追い詰めるという方法である。ほかの言葉でも二重の意味をこめることは、悪意を持てば容易なことだと思う。それによって、「自分の感覚が信じられなくなる」といった精神病の領域に至ることがあり得るのである。
 私はこうした方法があるということを当初、認められなかった。そんないじめ、パワハラ行為の方法があることを認められなかった。しかしこの引用文を読むと、二重の意味を込めるパワハラ行為(いじめ行為)があることが理解できるのである。私自身のこれまでの経験からも、そんな方法があり得ると考えられる。
そして「あり得る」という認識をすることが、パワハラ被害を最小限にすることにつながると考えたい。そんな考えに至らす引用文である。
 

at 11:44, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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被害の実相∪嫻づ床

 モラル・ハラスメントの場合、嫌がらせというのは、たいてい偶然起こったような形をとる。そうして、それが毎日、形を変えて行われるのだ。したがって、少しでも事態を把握しようと思うと、標的になった人物ははてしない自問自答を繰り返すことになる。時には同僚に忠告を求めてみることもあるが、満足な答えは返ってこない。同僚たちは加害者から切り離されているのが普通だからである。また、加害者に言われた「悪いところ」を直したとしても、攻撃がやむわけではない。モラル・ハラスメントは、被害者が加害者の前からいなくなるまで続くのだ。加害者のほうは――個人であっても、組織であっても――嫌がらせをしたことを認めない。「何も起こってはいない。あの人が作り話をしているだけだ」。あるいは、責任を被害者に押しつける。「確かに仲間うちから遠ざけたけれど、それはあの人が難しい(おかしい、ヒステリックな)性格をしているからだ」。このように加害者は、たとえ自分がしたことは認めたとしても、その非は認めようとしないのである。これでは論理も何もあったものではない。モラル・ハラスメントの加害者に対してはまともな論理が通用しないのだ。その結果、事態を論理的に把握できないことによって、被害者は自分の精神がおかしくなったのではないかと疑うようになる。そのいっぽうで、加害者のほうは被害者に対して、「おまえは狂っている」と言う。被害者はほかに仲間はずれにされる理由が見つからないので、それを信じるようになる・・・。実を言うと、人を狂気にいたらせようと思ったら、これは非常に簡単で、しかも有効な方法なのである。P82〜83「第2章モラル・ハラスメントであるもの」「正常な感覚を失わせる」)

 

 パワハラ行為を受けた被害者は、加害者が悪意に満ちたパワハラ行為を認め、謝罪するまで、自問自答することになる。パワハラ行為を受け、自分が間違っているのではないか、自分がおかしいのではないか、と考え始めるのである。そのうえ、加害者は自分の悪意あるパワハラ行為を認めようとしない。そのことがさらに被害者を追い込み、時には狂気に至らしめることさえあるのだ。

 

at 10:22, 砂田好正, パワハラが横行する職場

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